ーーー現在は弟子屈町産キタワセを使用していますーーー
香の湯は、香りと甘みを味わうための一杯です。新そばの「丸抜き」(そばの実から殻を取り除いたもの)を水だけで煮出しました。
粉になる前の素材から、そばの命の始まりを感じていただきたい——そんな思いで生まれました。
以前から、そば豆腐などを仕込む際、丸抜きを煮出した汁を味見したときに、素朴ながら穀物らしい香りと味の豊かさに、ホッとする瞬間がありました。
素朴すぎて万人受けはしないかもしれない。でも、山の中までそばを食べに来てくださる方なら、楽しんでくださるのでは——そんな思いから、あえてそのままの形でお出ししています。
契約農家から殻付きの状態で仕入れた新そばを低温で保管し、使う量だけ店内で殻をむきます。そばにするときはその後石臼で挽いて粉にするのですが、自分で製粉しているため、途中の工程の新鮮な丸抜きを、他の料理に使うことも容易なのです。
調味料を加えず、素材そのものの香りと甘みを引き出すよう、じっくりと煮出しています。
香の湯は、食前にお出しします。
湯気にそっと鼻を近づけて、香りを感じてみてください。
そして一口目は、何も考えずにそのまま。舌の上に広がる甘みと余韻を、静かに味わっていただければ、と思います。
産地は時期ごとに変わります。2025年は北海道(弟子屈・清里)、茨城県(常陸大宮・常陸太田・古河・土浦・桜川)、長野県(上田)などを予定しています。
ご希望の方には、産地を記録できるカードをお渡ししています。
香の湯の旅路を、ぜひ記憶と記録に残してお楽しみください。

